海洋島や湖に見られる固有の生物は、種間関係や群集構造、種分化、適応放散その他様々な進化的変化の機構を研究するうえで、すぐれたモデルになります。またこうした生物は生態系の保全の面からも重要です。特に小笠原諸島で劇的な適応放散を遂げたを用いて、種分化のプロセス、適応放散のメカニズム、種多様性の維持機構の解明に取り組んでいます。また小笠原諸島のユニークな生態系の成立過程の研究や、その保全活動にも取り組んでいます。
Angus Davison (Univ of Nottingham) との共同研究
●小笠原諸島の固有陸産貝類のサイト
■フロンティア生態系は多様性の揺り籠?
全く新しい環境に進出した生物にとって、その環境は他に競争者や天敵のいないパラダイスと考えられます。このような環境ではそれ以外の環境ではあまり一般的でない生態学的、遺伝学的プロセスが、多様化の推進力として強力に作用し、爆発的な進化と表現型の多様化もたらすのではないか、と考えています。カンブリア爆発や大量絶滅後の爆発的な適応放散は、こうしたプロセスを想定することで明らかになるかもしれません。この仮説を、潮間帯や成立間もない火山島などのフロンティア環境に住む動物を材料に検証しています。
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■侵入の進化生物学
人為的に移入された外来種は、時に進出した環境で爆発的に増加し、長い進化の産物である在来の生態系を破壊してしまいます。しかし、その一方で外来種は、新しい環境に生物がどのように適応するかを知るための格好の進化の実験でもあります。いったいなぜ外来種は、首尾よく侵入するだけでなく、他の生物に強い影響を与えるほど増加するのでしょう?外来種は新しい環境にどのように適応するのでしょう?創始者効果による遺伝的変異の減少はどのように克服されているのでしょう?またその一方で、外来種の侵入を受けた在来種はそれに対してどのような進� �的な反応を示すのでしょう?こうした問題を明らかにするために、アジアからアメリカに移入した海産の巻貝を材料に研究しています
Mark Torchin、三浦収 (Smithsonian Inst.)、Armand Kuris (Univ of California, SB) との共同研究
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■異質なものの融合が新しい性質を生み出す?ハイブリッドの研究
遺伝的な差の大きい動物の異種間でも、一般に考えられている以上に頻繁な交雑が起きます。この交雑によって生まれた個体が、いずれの親の種にもみられない新しい性質を持つことがあります。生物の新しい性質の進化に、遺伝的に異なる集団の交雑が重要な役割を果たしてきたのではないかという仮説を、遺伝的、生態的に異なるカタツムリの交雑集団を使って検証を試みています。
これを異なるレベルの現象に拡張し、異質なシステムの融合がシステムにもたらす効果の一般化を試みています。たとえば生態系レベルでは、異なる種構成からなる局� �群集間のミキシングや、異なる生物の共生系ないしホストパラサイト系に注目し、どのような新しい性質が系に付与されるのかを調べています。また遺伝子レベルでは、外来DNAの取り込みやDNA組み換えが、進化の歴史に果たした役割の解明を試みています。
■Love & Fight の研究ー愛とは傷つけあうこと?
雌雄同体の動物には交尾のとき相手の体を石灰質の硬い矢で突き刺したり、鋭利な刃物で切りつけるものがいます。切られてできた傷がもとでパートナーが死ぬこともあります。彼らはなぜ互いに愛しあうと同時に傷つけあわなければならないのでしょう。これは雄器官、雌器官の性的コンフリクトによる、軍拡競争的な共進化が引き起こした結果であると考えています。この仮説を検証するため、Euhadra属のカタツムリを材料に、行動学的、生理学的、分子遺伝学的なアプローチで研究を行っています。
Joris Koene (Vrije Univ), Angus Davison (Univ of Nottingham) との共同研究
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■太平洋諸島の生物地理
広大な太平洋に点在する無数の島々は、グローバルな種多様性のパターンに、移住や隔離、絶滅、融合といったプロセスが、どのようにかかわるかを知るための絶好の舞台です。西は小笠原、沖縄、フィリピン、パラオ、ニュージーランドから、ミクロネシア、ハワイを経て、東はマルケサス、サモアに至るまでの広大な地域の陸産貝類を材料に、その分布や多様性の成立過程を調べています。
Robert H. Cowie、Brenden Holland (Univ of Hawaii) との共同研究
■表現型の飛躍的進化の起源
非常に大きな形態の違いが、遺伝的に極めて近縁なカタツムリ集団間で生じていることがあります。これを材料として、大きな形態的差がどのような遺伝子発現機構により近縁集団間に生じたのかを調べています。
河田雅圭、横山潤(東北大)との共同研究
■形はなぜ不連続なのか?
生物の形態変異の分布をみると、時に著しい不連続性が認められることがあります。この不連続性がなぜ生じるのか、形態に極端な2型を示す貝食性のオサムシを材料として、中間型の欠如をもたらす生態学的、行動学的、遺伝学的機構の解明を試みています。
小沼順二(京都大) との共同研究
■海洋生物のグローバルな多様性パターンの研究
海洋生物の多様性には緯度や深度、地域間で大きな違いがあることが知られています。種多様性よりもむしろ、形態の多様性や群集を構成する機能群の多様性に注目し、海洋においてそのパターンを決定している要因を太平洋と大西洋の貝類を用いて調べています。
Kaustuv Roy (Univ of California, SD) との共同研究
■熱帯雨林はなぜ種多様性が高いのか
熱帯雨林の極端に高い種多様性は、種間関係、撹乱、生産性といった生態学的な時間スケールの機構よりもむしろ、低い絶滅率と高い種分化率という長い時間スケールの機構によるのかもしれません。この考えを確かめるため、陸貝では世界で最も多様性が高いとされるフィリピンと、世界で最も奇妙な種が住むボルネオの現生種と化石記録を材料として、熱帯陸貝群集の進化史の解析を試みています。
加瀬友喜(科博)、Menno Schilthuizen (NIBI) との共同研究
■種多様性の幾何学
フラクタル幾何学を武器に、種多様性の時間的、空間的パターンの統一的な記述を目指しています。グローバルな種多様性のパターンには様々な規則性が存在しますが、それはどのようなプロセスによってもたらされたのか、そしてそれらの背後にどのような素過程があるのかを研究しています。
長濱裕幸(東北大)、山崎和仁(神戸大) との共同研究
■種多様性の時間的パターンの解析
種多様性は歴史的に大きく変化してきましたが、どのような要因が変化の時間的パターンをもたらしたのかを明らかにします。海面変動、地殻変動などの環境変化が、絶滅、種分化、種多様性にどのような影響を与えるかを、計算機シミュレーションによる予測と、化石記録による実際の種多様性の解析から研究しています。
山崎和仁(神戸大)、奥野淳一(東大海洋研)との共同研究
■人間活動は生物にどのような進化的変化をもたらしたのか
有史以来の人間活動は、生態系の構造(種間関係、物質循環など)をどのように変えてきたのか、そしてそれに対し生物はどのような進化的応答を示したのか、これを完新世以降の貝類化石の形態解析、化学分析、安定同位体比分析を用いて解明を試みています。
占部城太郎(東北大)、豊福高志(JAMSTEC) との共同研究
■外来種の在来生態系に与える影響をどのように緩和するか
外来種問題の解決は生態系保全のための急務の課題ですが、そのための手法は確立していません。特に排除が困難な状態になってしまった外来種に対して、そのインパクトを野外でどのように緩和するかという研究は、現実的な外来種問題の解決策を考える上で非常に重要です。このモデルケースとして小笠原諸島の陸貝の激減をもたらしている陸生プラナリアの影響緩和方策の開発を試みています。
大河内勇(森林総研)、大林隆司(都農総研) との共同研究
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